■厚生労働省の描く「流行シナリオ」


8月21日、厚生労働省は、わが国が「新型インフルエンザの流行期に入った」ことを宣言し、今後、新型がどのように流行していくかの予測「流行シナリオ」を発表しました。
それによると、年内に国内で2500万人が罹患し、罹患率は総人口の20%に及ぶ、ピークは9月下旬から10月上旬になり、ピーク時には1日76万人が発症する、とされています。

■感染防止のために簡単にできて有効なこと

そのような新型インフルエンザの大流行から、自分や家族を守るために、私たちには何ができるのでしょうか。まず以下の「基本的な感染予防対策」を、一人ひとりが徹底して実行することが、何より大切かつ有効です。

1. 咳が出る時、流行期に人ごみの中に出かける時は、マスク(不織布マスク)を着用するようにしましょう。

2. 折にふれ、流水と石けんで手洗いするようにしましょう。アルコールジェルを用いることもお勧めです。

3. 今のうちに、マスクを最低2週間分、できれば2か月分備蓄しておくことも大切です。

 次に出来ることは「ワクチン接種」です。しかし残念ながら、新型インフルエンザワクチンは、国内では最大1700万人分しか製造されず、しかも10月下旬(流行のピークは過ぎています)まで供給される見通しはありません。輸入ワクチンに関しても、供給されるのは12月下旬以降の予定です。いずれにせよ、今回の流行第一波に対しては、ワクチンは少々"遅刻"してきます。

■重症化についてー肺炎と脳症

厚生労働省の流行シナリオでは、今回の新型インフルエンザの重症化率は0.15%と予想されています。「妊婦」や「喘息、心臓病、腎臓病などの持病を持つ人」においては、重症化する(肺炎などを起こす)ことが知られています。ご注意下さい。
新型インフルエンザによる重症の肺炎は、発症早期(48時間以内)に抗ウイルス薬(タミフルやリレンザ)を開始すれば、防げる可能性があると言われます。48時間以内!ということをよく覚えておいて下さい。

一方、子どもで心配なのがインフルエンザ脳症です。特に6歳以下の子どもにおいて、発熱後、数時間から1〜2日のうちに、「けいれんや意識障害」が表れてきたら、すぐに小児科にかかって下さい。

■あなどらない、パニックにならない

今後、私たちが新型インフルエンザに対して、「どう準備するか」によって、結果は大きく異なってきます。「大したことない、まあ何とかなる」とあなどることなく、「こわい、どうしよう」とパニックに陥ることなく、「今できるベスト」を尽くしてまいりましょう。